川留めの水は濁った
地蔵峠の雨に消える
峠に哭いた甲州路
女人講の闇を裂く
童唄を雨に流せ
大江戸の夜を走れ
六地蔵の影を斬る
一里塚に風を断つ
湯煙に月は砕けた
土煙に絵馬が舞う
龍胆は夕映えに降った
木枯しの音に消えた
見かえり峠の落日
水神祭に死を呼んだ
背を陽に向けた房州路
月夜に吼えた遠州路
無縁仏に明日をみた
流れ舟は帰らず